ホラー映画の伝説的名作として、今なお多くの人に語り継がれる『シャイニング』。
強烈に印象に残ってトラウマにもなるような、たくさんの特徴的な場面がありますね。
その中でも主役の息子であるダニーが、広大なホテルの中を三輪車で走り回るシーンは、この映画において最も印象深い場面の一つではないでしょうか。
ここでは、幼い男の子がただひたすら三輪車をこぐだけで、静かに不気味さが漂ってくるようなこの情景について、見ていきたいと思います。
『シャイニング』ストーリー
映画『シャイニング』は、過去に殺人事件があった広大なホテルが舞台。
小説家志望の男ジャックとその妻ウェンディ、それに幼い息子ダニ―のたった3人が、大雪で周囲が閉ざされたホテルの中で冬の間を過ごすことになります。
家族3人がホテル内で様々な超常現象に見舞われ、ついに正気を失った男は、自分の妻と息子を手にかけようと襲いかかります。
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三輪車をこぐシーンは3回
この映画では前半に3回、主人公の息子であるダニーが、広大なホテル内を三輪車で走り回るシーンがあります。
1回目
1回目は、ホテルで3人だけで暮らすようになってひと月後のこと。
室内用?のプラスチックで出来たような、背もたれの青いごく小さな三輪車にダニーがまたがり、従業員用の廊下やメインロビーを駆け抜けます。
BGMはなく、廊下や板張りの床の上ではゴロゴロと音を立てて進み、絨毯の上にさしかかると音は吸収されほぼ無音に。
メインロビーを走る場面では、その音の変化が交互に繰り返されていきます。
広大なホテルの中を幼い男の子が、ただひたすら三輪車をこぐ映像と音。
あまりに静かで、この先に起こるであろう得体の知れない何かを暗示するような、不気味な空気が漂ってくるシーンですね。
2回目
2回目では、主に客室が並ぶ廊下を走り抜けます。
オレンジと茶色で形作られ、真ん中が赤い、六角形模様のカーペット。
途中「237号室」を過ぎた所で止まって振り返り、三輪車から降りてドアを開けようとします。
静かながら不穏で怪しげな音楽が流れ、怖れを抱きつつも中を覗いてみたいダニーの心境が伝わってきます。
今にも何かが起こりそうで起こらない・・。観る人の恐怖感が極限まで高められていくようなシーンですね。
2回目~3回目の間
その後、仕事が思うように進まないジャックが、作業場のメインロビーに来た妻ウェンディに怒りをぶつける場面。
大声で怒鳴りつけたりせず、笑みを浮かべながらウェンディを凝視。神経質な態度で咳払いしたり原稿を破く夫の様子に接し、硬直し戦慄するウェンディ。
次の場面では、まるで凶悪な犯罪者のように、眼を見開き何かに憑かれたようなジャックの表情のアップ。
観る立場としてはウェンディに感情移入し、孤独感や不安感が増していきます。
さらに、めったにない大雪で電話が使えなくなり、普通の車も行き来できないような積雪でホテルは孤立状態に。
徐々に緊迫感が増してくるBGMと相まって、観る側の恐怖もピークが目前に迫ってきます。
3回目
そして、3回目の三輪車のシーン。
走り始めておよそ20秒後。角を曲がった瞬間、突き当りでダニーが見たものは・・!
この映画の前半のクライマックスで、ホテルの正体の一端を知ることになる、衝撃の場面ですね。
『シャイニング』におけるこのシーンの意義
この映画『シャイニング』の前半部分で、ダニーが三輪車をこいでホテルを走り回る3回のシーン。
1回目~3回目のシーンまでの経過時間は15分程ですが、ストーリーが展開する節目に登場し、それぞれ重要な意味を持ってますね。
- 1回目→この先起こるであろう、得体の知れないものの暗示
- 2回目→扉の向こう、目の前に迫った恐怖感・緊迫感の演出
- 3回目→物語の方向を決定づける、前半のクライマックス
男の子が小さな身体で懸命に三輪車をこいでいるという、微笑ましく見られるべき対象と、それに紐づけられた得体の知れないものの恐怖。
この意外な対比が、観る人にある種奇妙で、鮮烈な恐怖感を与えるのかも知れませんね。
まとめ
以上、名作ホラー映画『シャイニング』での、男の子が三輪車をこぐシーンについて考察してみました。
『シャイニング』では後に様々なオマージュ作品が作られるなど、特徴のある印象的な場面が豊富にあります。
一つ一つ掘り下げていけばいくらでも記事が書けそうだし、怖いけど何度も見返したくなる、ホラー映画史上に残る古典的傑作ですね。
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※本ページの情報は2020年6月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。